つくる

アニメ作画・演出をする愛媛生まれの人です。色々つくるのが好きです。

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ヌメ革のメガネケースを手作り(試行錯誤)

始めたばかりのレザークラフト

試行錯誤してメガネケースをいくつか作ったので、反省点や作業工程を忘れないようまとめてみました。

 

 もくじ

 

完成品

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完成したメガネケース。
仕上がり外形サイズ 7×16×4センチ程です。

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中でメガネが安定するよう、鼻当てもつけました。

 

使用した素材

ヌメ革(タンニンなめし/厚さ2ミリ)

・ヌメ革(ハギレ/厚さ1ミリ)

縫い糸「職人」(ポリエステル100%/#8/715)

・強力薄型マグネットホック(14ミリ/アンティックゴールド)

・両面カシメ(小タイプ直系6ミリ/最適な生地の厚み3ミリ/アンティックゴールド)

クラフト染料(コードバン/焦茶/黄/茶)

レザーコート(クラフト社)

トコノール

 

※クリックすると販売か紹介ページに飛びます。いただきものに加え、ユザワヤ、オカダヤ、ネットショップなどで購入しました。

作業工程

(1)形や色決め

色々なメガネケースを見ながら、誰がどのように使うかを考えて形や色を決めます。自分は「使いやすくて必要最低限のシンプルなデザイン」が好みです。

はじめからいくつか作るのを決めていたこともあり、今回は一枚革でできて縫う部分が少ない形を選びました。持ち歩く際に場所を取らないよう、なるべくメガネにフィットする形です。

よく使うマグネットホック取り付け部分の裏を隠すのと補強のため、部分的に革のハギレを取り付けます。

 

(2)型紙づくり(失敗した第一号)

色々と参考にしながら型紙を作ります。画用紙に鉛筆で描いてカッターで切り取り、組み立てて様子を見ながら調整します。

それでも第一号として実際に革で作ったものは、本体の形に対して蓋の横幅が広すぎたり、前部分が大きくメガネの出し入れがしづらかったりしました。

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上の写真は、第一号が出来上がったばかりの状態です。

ここから不要な部分を切り取って調整しました。

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これを第二号以降の型紙に反映し、ケース自体の横幅も使いやすさを重視して一回り大きくしました。

 

(3)大まかな革のカット

必要な革を、少し大きめにカットします。

(ギリギリや、カットしてから染色するとコバや裏に色が付いてしまいやすかったです。)

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マグネットホックの補強部分は、第一号では本体と同じ厚さ2ミリの革を使いましたが、重ねると厚くなりすぎたので、第二号からは厚さ1ミリのものを使用しました。

 

(4)染色

今回使用した革はあっという間に水分が染み込むものでした。

ムラになりにくいよう、最初に水を表面の全体に塗って濡らしてから染料を塗ります。

縦、横と重ね塗りをするとムラが目立ちにくいです。

濡れている時はとても色が濃いですが、乾くと結構色が変わります。

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クラフト染料を混ぜて色を作っています。

(メガネケース本体と鼻当ては「コードバン:焦茶」「2:1」

補強部分は「黄:茶」「1:1」くらいで混ぜました)

 

(5)染色部分の仕上げ、床面磨き

染料が乾いたら、仕上げにレザーコートを塗ります。いただいた艶ありのものを使っていますが、マットタイプのものもあるようです。

床面にはトコノールを塗ります。最初の頃は塗っていなかったのですが、塗るのと塗らないので全然違います。磨いて乾くと毛羽立ちがなくなり、つやっとして丈夫になります。扱いやすいボンドのような感じです。

ヤスリを使った後などは特に必須な気がします。

 

染料はハケで、レザーコートは布で、トコノールは指やヘラで塗った後に、ガラス板の代わりに100均で買った四角い陶器のコースターのふちで磨いています。今のところ仕上がりには問題ないように思います。

自分は色々待ちきれず、染色段階から何度もドライヤーを使用して乾かしたりしています。

(6)革のカット

しっかり乾いたら、型紙に合わせて革をカットします。

型紙は画用紙のまま上に重ねてクリップで固定しながら切っていますが、厚紙やプラボードに重ねるなどして厚みと硬さを出した方が切りやすそうです。

この時に、型紙に合わせて必要な部分にアタリの穴をキリで空けておきます。

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カットには、オルファの別たち 56Bを使用しています。

最初は普通のカッターを使っていたのですが、この形はとても使いやすいです。革は厚みがあり仕上がった時に切り口が見えることも多いので、切れ味は重要な気がします。

 

(7)縫い穴のガイドラインを付けておく

カットが終わった段階で、皮革用ネジコンパスを使い、革の端の縫う部分(表)に溝を引いておきます。今回は3ミリで溝を引きました。

これをガイドラインにして、後から菱目打ちという器具を使い縫い穴をあけます。

(写真を忘れて別で撮ったので革の色が違います)

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(8)部品の取り付け

革のカットの時に付けておいたアタリの穴を使って、部品取り付け用の穴をあけます。

今はキリで地道に穴を広げカッターで不要な部分を切り取っているのですが、レザーパンチ等を使用した方がよさそうです。

穴があいたら、両面カシメを使って本体と鼻当てをくっつけます。

カシメやホックなどの部品には、形に合わせた打ち具があり、使わないと丸い頭がつぶれてしまいます。

今回使用したカシメは、布を合わせた厚みが3ミリまでのものでした。

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2ミリの革を2枚重ねてくっつけるので、そのままだと4ミリになり、すぐに外れてしまいました。なので本体と鼻当ての穴付近をそれぞれカッターで削り厚さを調節しています。

マグネットホックの片方も、必要な穴を開けて取り付けます。

 

(9)縫い付け部分の接着

縫い付ける部分の端にボンドを塗り、乾くまでクリップで挟んで固定します。ボンドを塗る部分には、カッターで傷を付けておくとしっかりくっつきやすいです。100均の工作用ボンドが使いやすいので使っています。

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(10)縫い合わせ

ボンドが乾いたら、縫い穴用のガイドラインに沿って菱目打ちで縫い穴を開けます。

蝋をつけた糸を使い、縫い穴を使って縫い合わせます。

縫い始めと縫い終わりは2目ほど返し縫いをし、最後は裏側で糸を数ミリ残して切って、糸をほぐしてボンドでくっつけます。

写真は最後の糸始末の様子です。

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(11)蓋パーツの取り付け

蓋につけるマグネットホック用の革に穴を開け、マグネットホックを取り付けます。

まずはボンドで蓋に接着し、乾いたら縫い穴を開けます。

ここの縫い糸は模様としてしっかり見えてほしいので、仕上がりが綺麗になるよう縫い穴あけにはキリを使用しました。(重ねた革の厚みが厚く、菱目打ちを使うと大きくひし形の穴が開いてしまうので、糸が見えづらくなりました。)

 

(12)仕上げ

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全ての部品取り付けと縫い合わせが終わりました。

ヤスリを使って形の微調整をし、コバにトコノールを塗って磨きます。

ヤスリは100均のスティックヤスリを使っています。

 

蓋を閉め、しっかりと形の癖を付けたら完成です。

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第一号を自分用にし、プレゼントを含めて合計5個のメガネケースを作りました。

蓋部分に使用する人の名前を刻印しています。

 

第一号(試作)の失敗と改善のまとめ

 

完成後に改善できた失敗

×蓋の横幅が大きすぎて、本体の形に合わない。

→切り取って蓋の横幅を狭めました。

 

×前面が大きすぎてメガネの出し入れがしづらい。

→前面を切り取ってマグネットホックに支障のない範囲で低くしました。

 

次から改善した失敗

×本体の横幅がピッタリすぎてメガネの出し入れがしづらい。

→本体の横幅を1センチ大きくしました。

 

×鼻当てが小さく薄いのですぐに歪み、ケースの形がうまく付きづらく、

真ん中がへこみすぎてメガネの出し入れがしずらい。

→鼻当ても2ミリの革にし、長さを伸ばして立ち上がるサイズを大きくしました。

 

×マグネットホック部分が大幅に浮き、全体の厚みが無駄に増えてしまった。

→補強に使う革を薄いものに変え、マグネットホックは薄型のものに変更しました。

 

×カシメ用の打ち具を使わなかったので丸い頭がつぶれてしまった。

→カシメのサイズに合わせた打ち具(400円弱)を、カシメと一緒にユザワヤで購入して使用しました。

 

×ホック補強用革の縫い穴あけに菱目打ちを使用したら、穴が大きすぎて糸が綺麗に見えなかった。

→この部分の穴開けはキリで行うことにしました。

 

×本体上部から縫い始めたら、折り目が近い下の方が開こうとする力が強く、縫い合わせ部分に隙間ができてしまった。

縫い始めを下部からに変更し、しっかり固定して引っ張りながら縫うことにしました。

 

×染色前に床面のトコノールを塗ったら表面にも少しトコノールが付いてしまい、その部分がうまく染色できずムラになった。

→染色からするようにして、反対側に余分なものが付かないよう気を付けます。(適量を乗せて伸ばすようにして大きくはみ出さないようにする、下に敷いているチラシが汚れたらすぐに取り替える、等)

 

未解決の失敗

×レザーコートが白っぽくムラになった。

→未解決でまだ試行錯誤中です。使った布が悪かったのか、染料が乾ききらないうちに塗ってしまったのか、レザーコート自体が古くなってしまっているのか…?ハケを試したらよりムラが付きやすかったです。